ガチャ小説
親友の二人
かわってないね
今日は高校の同窓会。お盆休みに合わせて開催の知らせが届き、真っ先に思い浮かんだのは高校時代の親友だ。お互い大学進学を機に遠方で一人暮らしをはじめ、そのまま地元に戻らず就職。たまに連絡はとっていたものの、二人ともなんだかんだ忙しくて、会うのは5年ぶりになる。正直ギャル寄りだった私たちは、メイクもファッションも、好きな雑貨も趣味が合った。彼女と一緒なら、地元のショッピングモールだって、何もない川辺だって、どこだって最高に楽しかった。
少し遅れて会場のカフェに入り、しばらく探すと、誰かと話している彼女を見つけた。高校時代の派手目なメイクも、パンチの効いたファッションもガラッと変わり、すっかり落ち着いた大人の雰囲気だ。
『そうだよね、やっぱり変わるよね。私だって変わったし。』遠目に彼女を見ながら少しさみしくなっていると、彼女のちいさなショルダーバッグにつけた、見覚えのあるキーホルダーが目に入った。忘れもしない、私たちが高校時代からずっと大好きで、競うように集めていたキャラクター。
「それ!私もつけてる!」思わず声をあげて近づき、あいさつもしないで同じキャラをぶらさげたキーケースを彼女に見せる。彼女は一瞬おどろいた後、すぐに全部をわかってくれた。時間が一気に巻き戻り、「なんだ、かわってないね」と笑い合う。
自然に頭に浮かんできたのは、学校帰りによく二人で立ち寄った雑貨屋だ。店の横にはガチャマシンがたくさんあって、二人で一緒にまわすのが大好きだった。
友達が言う。「私たち、きっと今、おんなじことを考えてるよね?」
私も嬉しくなってうなずく。「このあと、あそこにこのガチャ®回しにいこう!」
きゃっきゃと笑いながらたどり着いたなつかしい雑貨屋。ガチャ®を回す友達の真剣な横顔は、あの頃とぜんぜん変わらなかった。