100年後ガチャ

ガチャ小説

ガチャ®の歴史

ガチャ®、月へ

2124年。学校の宿題で出されたのは「いまいちばん好きなことを立体映像で提出せよ」というお題。めちゃくちゃ好きなこともやりたいこともないぼくは、近所に住むじいちゃんに相談しにいった。

じいちゃんのうちはガラクタだらけで、じいちゃんちでしか見たことのない昔のおもちゃがたくさん転がっている。ちょっとつかれたときや、悩んでいる時、ぼくはよくじいちゃんちにふらっと遊びに行く。

「じいちゃん、ぼく、とくにすきなものがないんだ」そう打ち明けると、じいちゃんはこう言った。
「お前のそのカバンについているそのマスコットは、どうやって手に入れた?」
「これ?ガチャ®だよ。ハンドルを回すとカプセルがおちてくるやつ。最近は缶づめの中にカブトムシロボットが入ってるのが流行ってるらしいよ」
「そう、ガチャ®だ。」じいちゃんは大きくうなずいて一呼吸おき、長い長い話をはじめた。

うんぬんかんぬん

「お前はガチャ®の歴史をしっているか?

まず、1930年にカプセルトイはアメリカで誕生した。1965年、ペニイ商会(現ペニイ)が、アメリカからマシンを輸入し、日本で初めてカプセルトイの販売を開始。おもちゃ屋や駄菓子屋、文房具店などの店先におかれていった。1986年、初代マシン「ビッグマシン」を「TOMY」ブランドで発売。お金を入れるとルーレットが回り、当たりが出るとカプセルが2個出てくる仕組みだった。1988年タカラトミーアーツの前身「YUJIN」が設立。1990年にはロングセラー商品「こむしちゃんのかんづめ」が登場した。ちなみにさきほどお前が言った“こむしちゃんのかんづめ”リアルバージョンは、初代から数えると第135弾じゃな。1995年に登場したのはガチャ史に残る傑作マシン「SLIMBOY」。2000年には4代目マシン「ガチャ1」登場しておる。2009年には「YUJIN」他グループ4社統合により社名が「タカラトミーアーツ」に変更。2016年には国内主要空港にガチャ®を設置。2019年には2月17日を「ガチャの日」に制定。2024年にはガチャブランドのリニューアルを実施し、ロゴも一新された。2035年にはニューヨークでガチャ博覧会が開催され、世界展開が加速。2050年にはエリザベス女王にも献上されたのう。270年にはマシン内で遠距離瞬間転移が可能なモデルも発売され、ブラジルと日本の転移も実用化されておる。2080年からガチャマシンは月に設置されておるが、その後も宇宙ステーションを介して様々な惑星に設置。

2110年には宇宙交流の一環として異星人にも贈呈された。どうじゃ?興味が湧いてきただろう?そしてここにあるのが2024年製のガチャマシンじゃ」

圧倒されたぼくは勧められるままにその貴重なガチャ®を回す。出てきたのは、カチカチまわる十字のハンドル。たった今まわした2024年製ガチャマシンのハンドルだ。

「おもしろいじゃろう?」そういうじいちゃんの目を見ながら、僕はこくりとうなずく。宿題はなんとか提出できそうだ。

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Okuta

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Okuta

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